リンゴの変色原因について解説

 こんにちは。ACです。

 移住してからリンゴをいただく機会が多く、リンゴよく食べるようになりました。また品種によって、食感も味も全く違い、リンゴの奥深さに惹かれてる今日この頃です。

UnsplashLouis Hanselが撮影した写真

 さて、リンゴを切ると、徐々に断面が茶色くなってしまいますが、皆さんどのように対処されているでしょうか。

私は、塩水やレモン水に付けて変色を防止したりしていましたが、ふと、

変色の原因」、「塩水やレモン水で変色防止できる理由

について気になったので、いろいろ調べてみました。

リンゴの変色原因

 変色現象は、褐変現象とも呼ばれます。

褐変現象には、酵素的褐変と、非酵素的褐変の2種類があります。

酵素的褐変は、酵素が原因で発生する褐変現象で、リンゴや、桃、バナナ、レタスなどが該当します。

非酵素的褐変は、加熱が原因で発生する褐変現象で、メイラード反応とも呼ばれ、コーヒー焙煎や、肉・魚類の加熱、醤油の醸造などが該当します。 

酵素的褐変

 酵素的褐変は、ポリフェノール、ポリフェノールオキシダーゼ(以下、PPOと略す)、酸素が反応することによって起こります。

 ポリフェノールとは、複数のフェノール性ヒドロキシ基を分子内にもつ物質の総称です。多くの植物に含有されており、5,000種類以上存在します。

 ポリフェノールに含まれるOH基が、酸化されることで褐色に変化します。反応は下記の通り。

酵素的褐変 反応式

 ポリフェノールは液胞に含まれPPOはプラスチドもしくは葉緑体に存在しています。切るなどして細胞が破壊されると、ポリフェノールとPPOが溶出し、酸素の存在下で接触し褐変します。

 直ちに褐変するものを「即時型」、数日後に褐変するものを「遅延型」と呼びます。リンゴは即時型となります。

酵素的褐変の抑制方法

 酵素的褐変を抑制するためには、

ポリフェノール、ポリフェノールオキシダーゼ(以下、PPOと略す)、酸素

上記のいずれかを排除・抑制する必要があります。

具体的には、下記のような方法があります。

  • 加熱してPPOを失活させる
  • pHを変化させて酵素を失活させる
  • 酸素を除く
  • 阻害剤を添加する

塩水や、レモン水は阻害剤を添加する方法となります。

調べてみると、阻害剤の種類は、塩水(NaCl)やレモン水(クエン酸)以外にも複数ありました。

阻害剤のタイプ
還元剤アスコルビン酸、SO2、ピロ亜硫酸ナトリウム
キノンカップラーL-システイン、グルタチオン
銅キレート剤NaCl、EDTA、トロボロン、CO、クエン酸
基質アナログケイ皮酸、p−クマール酸、フェルラ酸
その他PVP、4−ヘキシルレゾルシノール、コージ酸、ノビレチン
酵素的褐変 阻害剤

まとめ

 リンゴが変色する原因は、ポリフェノール、PPO、酸素が接触することで発生する、酵素的褐変現象であることがわかりました。

 また、塩水やレモン水は、銅キレート剤として作用することで、酵素的褐変を抑制していることがわかりました。

 阻害剤の反応機構や、塩水の濃度による効果検証など、他にも色々と面白そうな論文などもありましたので、またの機会に紹介してみようと思います!

 ここまでご覧いただきありがとうございました!

参考文献

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/45/6/45_6_403/_pdf/-char/ja
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