こんにちは。ACです。
移住してからリンゴをいただく機会が多く、リンゴよく食べるようになりました。また品種によって、食感も味も全く違い、リンゴの奥深さに惹かれてる今日この頃です。
さて、リンゴを切ると、徐々に断面が茶色くなってしまいますが、皆さんどのように対処されているでしょうか。
私は、塩水やレモン水に付けて変色を防止したりしていましたが、ふと、
「変色の原因」、「塩水やレモン水で変色防止できる理由」
について気になったので、いろいろ調べてみました。
リンゴの変色原因
変色現象は、褐変現象とも呼ばれます。
褐変現象には、酵素的褐変と、非酵素的褐変の2種類があります。
酵素的褐変は、酵素が原因で発生する褐変現象で、リンゴや、桃、バナナ、レタスなどが該当します。
非酵素的褐変は、加熱が原因で発生する褐変現象で、メイラード反応とも呼ばれ、コーヒー焙煎や、肉・魚類の加熱、醤油の醸造などが該当します。
酵素的褐変
酵素的褐変は、ポリフェノール、ポリフェノールオキシダーゼ(以下、PPOと略す)、酸素が反応することによって起こります。
ポリフェノールとは、複数のフェノール性ヒドロキシ基を分子内にもつ物質の総称です。多くの植物に含有されており、5,000種類以上存在します。
ポリフェノールに含まれるOH基が、酸化されることで褐色に変化します。反応は下記の通り。
ポリフェノールは液胞に含まれ、PPOはプラスチドもしくは葉緑体に存在しています。切るなどして細胞が破壊されると、ポリフェノールとPPOが溶出し、酸素の存在下で接触し褐変します。
直ちに褐変するものを「即時型」、数日後に褐変するものを「遅延型」と呼びます。リンゴは即時型となります。
酵素的褐変の抑制方法
酵素的褐変を抑制するためには、
ポリフェノール、ポリフェノールオキシダーゼ(以下、PPOと略す)、酸素
上記のいずれかを排除・抑制する必要があります。
具体的には、下記のような方法があります。
- 加熱してPPOを失活させる
- pHを変化させて酵素を失活させる
- 酸素を除く
- 阻害剤を添加する
塩水や、レモン水は阻害剤を添加する方法となります。
調べてみると、阻害剤の種類は、塩水(NaCl)やレモン水(クエン酸)以外にも複数ありました。
阻害剤のタイプ | 例 |
還元剤 | アスコルビン酸、SO2、ピロ亜硫酸ナトリウム |
キノンカップラー | L-システイン、グルタチオン |
銅キレート剤 | NaCl、EDTA、トロボロン、CO、クエン酸 |
基質アナログ | ケイ皮酸、p−クマール酸、フェルラ酸 |
その他 | PVP、4−ヘキシルレゾルシノール、コージ酸、ノビレチン |
まとめ
リンゴが変色する原因は、ポリフェノール、PPO、酸素が接触することで発生する、酵素的褐変現象であることがわかりました。
また、塩水やレモン水は、銅キレート剤として作用することで、酵素的褐変を抑制していることがわかりました。
阻害剤の反応機構や、塩水の濃度による効果検証など、他にも色々と面白そうな論文などもありましたので、またの機会に紹介してみようと思います!
ここまでご覧いただきありがとうございました!